中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3117回
ドルの動きも三つ巴になって違った方向に

ドルを腹一杯貯め込んだ中国がそのドルを使って何をやるかは
まだはっきり決ったわけではありません。
海外投資専門の会社をつくって
2千億ドルくらいのお金を運用することになり、
ブラックストーンに50億ドルほど出資した途端に
ニューヨーク株の暴落にあって
担当者たちがシュンとなっている新聞記事は読みましたが、
出鼻を挫かれれば慎重になりますから
そう悪い話ではありません。
色んな目にあって、
経験を積んで中国にとって本当に必要で、
且つ大きな利益をもたらす投資対象にありつくのだと思います。

サブプライム・ローンの失敗と石油の暴騰と
世界的な食品の値上げが重なって発生したので、
中国も大なり小なりその影響を受けてかなり慎重になっていますが、
既に意見の一致を見ているのは資源の確保をしておかないと
安定した経営ができなくなるということです。
ですから政府が先頭に立って
産油国や地下資源の豊富な国々と密接な関係を持つようになり、
欧米先進国からかなり批判的な目で見られるようになっています。
すぐ隣接する旧ソ連圏の国々でも
石油採掘のパートナーになっているし、
場合によっては産油国と
ライバル関係におかれる行動にも出ています。
産業界の川上から川下まで一貫した体制ができれば、
オイル・ダラーでアメリカの代表的な企業を
あわよくば傘下におさめたいという産油国の王様たちよりも
着実な体制を建ち上げることができるのではないでしょうか。

もちろん、聯想がIBMのパソコン部門を買収するような行為が
再発しないということではありませんが、
産油国のお金がアメリカに上陸するよりは、
中国はむしろ資源の確保するために
産油国のライバルになる可能性の方がずっと大きいように思います。
ドルのパニックがあと2回くらい起る間に
アメリカの国力が次第に衰えて、
その度に中国の国力が大きく評価されるようになる方向に
いまドル自体が動こうとしているのです。


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2008年9月21日(日)

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