中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3116回
中国人はお役人も商売人なんです

中国は人口が日本の10倍もあると言うこともありますが、
海外へ出て働く人がうんとたくさんいますので、
外国人と接するチャンスは日本人よりずっと多いのです。
誰か家族の中の一人が
アメリカでもアフリカでも何らかのツテで仕事を見つけると、
やがて弟や妹を一人ずつ呼び寄せて、
10年もたつと親兄弟から一族郎党までその国に移住してしまいます。
はじめは鉄道工事の苦力からスタートした人もあれば、
飛行機の整理工として入国を許可された人でも、
家族の中の誰か一人が商売をはじめて成功のチャンスをつかむと、
一家がその土地の顔役にのしあがります。
土地の事情にも詳しくなるし、
どんな商売をしたら金が儲かるか、
さてはうまく法律の網をくぐり脱けるのには
どうしたらいいかということまで精通するようになります。

この100年あまりは
外国に行って稼ぐことばかり考えてきた華僑たちですが、
この10年、20年に中国本土が工業化に成功して
外貨保有高世界一の金持ちの国になりました。
今度は中国が稼いだお金を使って外国で投資をし、
どうやったら安全でうまく金が儲かるか思案する番になったのです。
日本人は自分たちの技術とお金を持って
外国に行って同じことをやることばかり考えますが、
中国人は自分たちが新しく生産するようになった
工業製品を売り込むことももちろん考えますが、
売り込みに使う資本は買って売るだけですから、
そんなにたくさんのお金は要りません。
そんなことよりも、大量生産をするようになると
原料のコストがドンドン値上がりするので、
原価を先づ抑えることが焦眉の急になります。
「利は元にあり」と言いますから、
とにかく資源を抑えることだと中国人は先ずピンと頭に来ます。
「でもそれは大企業の社長や役人たちの考えることじゃないか」
と日本人は反論するでしょうが、
中国という国はお役人も商売人なんです。
「日本人は職人、中国人は商人」という違いが
ここのところで物を言うのです。
中国人の貯めたドルは
オーストラリアやロシアやブラジルやアフリカにまで
とび出して行くことは先ず間違いありません。


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2008年9月20日(土)

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