中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3132回
蛇が象を呑むようなことはやるな

アメリカの政府が輪転機をフルに回転させて
次々とドル紙幣を印刷して
アメリカ中の銀行や証券会社の救済に乗り出すのはいいとしても、
救済されて生き残った金融機関が
いままでと同じ経営方針で
「お金でお金を生む」ビジネスをくりかえせば、
新しく富を生み出すのではなくて、
既存の富をふくらませることをくりかえすことになりますから、
またどこかでふくらみすぎた風船が
破裂するような目にあわされることは目に見えています。

ですから
アメリカ流の資本主義に抜本的な改善が見られない限り、
アメリカの経済力は衰亡する方向に動きます。
ところが、世界中の銀行や証券会社は
アメリカの同業者が世界のトップを走っており、
自分たちは遅れをとっていると、
内心コンプレックスを抱いているので、
アメリカの眞似をしようとするし、
アメリカの一流業者の発行している債券なら大丈夫だろうと、
誘われれば資金を提供する側にまわってきました。
その結果、応分の損害を蒙っていますが、
そうした先輩格の同業者から「助けてくれ」と声がかかれば、
日本の証券会社や銀行が
「この際、あの会社に発言権があるようになれば」
とばかりに増資や救援に応じようという動きがあることは
新聞が報じている通りです。

日本にそれだけの余裕があるとすれば、
バブルの崩壊したあと、建て直しに全力を盡し、
アメリカの債権に手を出すだけの余裕がなかったからであって、
日本の金融機関に
アメリカをしのぐ先見の明があったからではありません。
「金で金を生む」システムに遅れをとった日本の金融機関が
ヨーロッパに比べて被害が少なかったのは、
実力に問題があったからですから、
はたしてアメリカの金融機関にとって代われるのか、
心細く感ずるのは私だけでしょうか。
日本の金融機関はアメリカ流の経営に乗り出すよりも、
逆に一歩下がって
付加価値を生む産業界の資金の面倒を見る
成長経済時代の銀行の役割に戻った方が
いいのではないでしょうか。


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2008年10月6日(月)

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