中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3139回
中国の批判より国内の景気対策から

私に言わせると、
日本の個人所得は中国よりずっと上位にありますが、
高度成長の終った成熟社会日本は
成長がはじまったばかりの中国より
ずっと難しい問題をたくさん抱え込んでいます。

高度成長が続いて税収がふえている時、
国家予算はその年のうちに使い切れないと
次の年にもらえなくなるので、
できるだけ予算をたくさんもらって、
無駄だろうと何だろうと、
使いきる必要がありました。
またそうした能力を持ったお役人さんが能吏と言われました。
そうした時代に中央だけでなく、
地方でも次々と建造した
公民館や美術館やその他の公共施設が
いまや中央や地方財政をおびやかす金食い虫になっています。
国の赤字は1000兆円にも及ぶと言われていますが、
お役人の天下だり先を整理しなければならなくなっても、
それが整理できずに、
日本では毎年80兆円の予算に対して50兆円しか収入がありません。
黙っていても1年に30兆円ずつ借金がふえ続けていますから、
国家予算は完全な自転車操業です。
その上、地方自治体の大赤字が加わりますから、
早急な対策が必要ですが、
歴代首相も地方のトップも
後任に問題をくりこすことによって自分の首をつないでいます。

そういうところにアメリカに端を発した
世界的な金融不安が襲いかかってきたら、
中国の批判をするどころの騒ぎでなくなってしまいます。
石油が上がり、食料が上がる上に、
国民の収入がふえるどころか、
逆に日雇いですませようという対応ですから
国全体がジリ貧になって消費が先細りに減る方向に動きます。
このまま無策を続ければ、
デパートもスーパーも更にはコンビニまで売上げはジリ貧に向い、
三越が店を4つも閉めるようなことが起ります。
大都会でもそうした廃業休業が続きますが、
地方都市はもっと早くから同じ目にあわされています。
中国の批判をしているヒマがあったら、
日本経済をどうするか有効な対策を考えたいですね。


←前回記事へ

2008年10月13日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ