中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3141回
銀行の儲けの半分は預金者に還元を

ドルを救済することも必要ですけれど、
アメリカ経済の体質改善をやらなければ、
何年かあとにまた必らず同じことがくりかえされます。
何しろアメリカ人は中国人や日本人と違って、
自分たちが稼いだお金はほとんど使ってしまって、
貯蓄なんかやりません。

ロスに行った時にきいた話ですが、
中国系の銀行が
中国人のたくさん住んでいる地域に支店をひらいたら、
2年目には黒字になったそうです。
それをきいて同じ地域に支店をひらいて
何年たっても赤字を続けている白人の支店長が
その秘密をききにきました。
中国人の支店長は笑ってききかえしました。
「あなたはアメリカ人相手の商売でしょう。
あなたのお客さんは収入のうちどれだけ貯金しますか。
収入の大部分を月賦やカードの支払いにまわして、
あなたはその支払い係りをつとめているだけでしょう。
うちのお客は90%が中国人ですが、
中国人は少い収入の中から半分は貯蓄にまわすのですよ。
その人たちの貯金を融資にまわすのですから、
扱っている資金の量が違うのです」
それをきいた白人の支店長は
尻尾をまいて逃げかえって行ったそうです。

日本人は中国人ほどではありませんが、
収入があれば、分相応に貯蓄にまわします。
ですから日本人も年々の収入をふえる方向に仕向ければ、
使うお金もふえるし、
貯蓄にまわすお金もふえます。
昨今の日本のように利息を只のように安くして
銀行がそのお金でアメリカの債権を仕入れたり
アメリカの禿げ鷹に融資するのは
決して好ましいやり方ではありません。
銀行の役割を高度成長時代に戻して、
工業生産に励む人たちに融資して、
儲けの半分くらいは預金者に戻して
デパートやスーパーで潤沢にお金が使えるようにすべきです。
定期が満期になっても今は食パンかケーキくらいしか買えませんが、
セビロとかカーテンとか
パソコンくらいは買えるように調達すべきです。
付加価値づくりに熱心な企業の面倒を見れる銀行に戻さない限り、
日本は昔の活気を取り戻すことはできないのではないでしょうか。


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2008年10月15日(水)

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