中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3151回
中国がアメリカに恩を売る立場に

アメリカの投資銀行や保険会社からSOSの信号が来ても、
ガンとしてきく耳をもたない国の一つに中国があります。
中国の銀行や保険会社の中にもアメリカの債権に投資をして
かなりの損害を被っている例はいくつもあります。
でもそれはまだ金融不安が起る前にやった投資であって、
危いと思ったらすぐにも手をひくのが中国人の本能です。
「首のとぶ商売をやる人はいても、損する商売をやる人はいない」
と諺にもある通りです。

ですから、みすみす損をすることを中国人に頼むのは
中国人を知らない人だと言ってよいでしょう。
では中国人は義侠心のない人かというと、そうではありません。
中国人の義侠心は違った形で発揮されます。
倒産するとわかった事業にお金を出す中国人はいませんが、
これなら安心だという見込みが立てば、
中国人はいくらでも手をさしのべてくれます。

たとえばリーマン・ブラザーズやAIGからSOSがあっても
中国政府はきく耳をもたないでしょうが、
アメリカの国債を引き受けてくれないかとアメリカの大統領から
頭を下げられれば、多分、ノーとは言わないでしょう。
国債を買うのであればこけてすってんてんになる心配はないし、
確実に利益もつくし、アメリカに恩を売ることにもなるからです。
中国がどれだけのドルを持っているかは衆知の事実だし、
現にアメリカが国債を売ってそのお金を何に使うかということも
わかっているからです。
多分、そこで中国は男をあげ、
アメリカは中国に対して頭が上がらなくなるでしょうが。
そんなことにこだわっておられない切羽詰まった環境に
いまのアメリカはおかれているのです。

まだ横綱が完全に入れ替わるところまでは来ていませんが、
場所ごとに星の取り方は変化が起ろうとしています。
貯蓄もろくに心掛けず、稼いだだけ費ってしまう国と、
儲けのかなりの部分を貯蓄にまわす国との実力の差が
番付を変えてしまうところまで来ているのです。


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2008年10月25日(土)

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