中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3152回
金融株の前は目を閉じて通りすぎよう

世界中が不況の様相を呈するようになると、
株価は一せいに値下がりします。
でも上場会社の業績が一せいに悪化するわけではありません。
業績が一せいに悪化する業種もありますが、
ほとんど影響を受けずに、逆に成長を続ける業種もあります。

いまで言えば、銀行や証券会社や保険会社のような
お金を扱うビジネスはまともにその影響を受けますが、
同じビジネスをやっていてもサブプライム・ローンや
破産に瀕した債権とどの程度かかわりあっているかによって
財務の内容に大きなひらきができてしまいます。
どこの会社だって
悪いニュースはひたかくしにかくそうとしますから、
真相は当事者しかわかりません。
ですから大事をとる人はこれらの業種には
一切近づかないにこしたことはありませんが、
前期まで高配当をしていた企業の株価が
高値の5分の1、10分の1まで売り叩かれると、
株価が前期の配当金の倍とか3倍のレベルまで落ち込んできます。
会社は本当のことは言わないし、
もし業績がそれほど悪化していなければ、
配当利廻りは見違えるほど改善することになるし、
株式市場全体が息を吹きかえす方向に向えば、
株価の恢復に拍車がかかります。
そのへんのところの数字を正確につかまえることができれば、
と株のベテランなら誰でも考えます。

ですから、金融と関係の深い業種には近づくな、
というのが正解だとしても、
下がりすぎた金融株のコーナーには
いつも一山あてたい人たちが集まってきます。
ちょうど博打場に近づけば身ぐるみ剥がされるぞと言われても、
マカオに行く人が後を絶たないようなものです。
しかし、今回は金融と関係のない手堅いビジネスの分野で、
金融株以上に売り込まれている業種が
数えきれないくらいあります。
金融業者の金ぐりのために採算を無視して
売り込まれているのですから、
同じチャンスでも安全性の高いチャンスが
ゴロゴロしているんじゃないでしょうか。
私なら金融株の前は目をつぶって通りすぎます。


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2008年10月26日(日)

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