中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3159回
もう底に近いと思いませんか

日本では先輩格にあたるアメリカの銀行や証券会社や生命保険から
「助けてえ」と声がかかると、チャンスとばかりに
助太刀を名乗る同業者が名乗りをあげていますが、
香港ではそれどころの騒ぎではなくて、
「出したお金はどうしてくれる!」という
悲鳴ばかりきこえてきます。

もちろん、日本の銀行筋でもアメリカの一流債権に出資して
大へんな損害を蒙っている銀行やファンドがありますが、
全体から見たら、そう大したパーセンテージではないので、
大騒ぎにはなっていませんが、香港は世界中とつきあいがあるし、
ドルを扱うことになれた人も多いので、
サブプライム・ローンのとばっちりを受けている銀行や個人は
かなりあると見ていいでしょう。
ついこの間も東亜銀行の窓口に預金の引き出しにくる人が
行列をして大騒ぎになりましたが、リーマン・ブラザーズの倒産で
同社のミニ債を購入した一般市民が300名も警察総部に押しかけて
「どうにかしてえ」と陳情している風景が
大新聞のトップ頁を飾りました。
財政司の司長さんも放任しておくわけに行かず、
債権を販売した銀行の担当者たちを集めて
買い戻しをすすめましたが、それによると発行した投信の総額は
香港ドルで125億ドル(日本円で約1800億円)で、
36種類ある投信のうち、1銭も戻らないのが10%、
半分以下のが10%、残りの80%は出資金の60%から70%を
返還してもらえる見込みだそうです。

リーマン・ブラザーズ1社だけでも
これだけ民間からお金を集めており、
その中には香港の銀行が仕入れた分は含まれていませんから、
ほかのアメリカの投資銀行の発行した分も加えたら、
想像を絶する金額にのぼると考えていいでしょう。
それらの債権が一せいに解約になれば、
香港株が投げ売りの対象にされても不思議ではありません。
投げ売りの対象になった中国株の業績や将来性と
全く何の関係のないことが現実に起っているのです。
そんなことがはたしていつまで続くものでしょうか。


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2008年11月2日(日)

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