中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3176回
低金利政策のツケが廻り廻って

日本はアメリカより一足先にバブルがはじけて
空前のピンチにおちいりました。
倒産に追い込まれた銀行に公的資金を注ぎ込むことに
難色を示す動きも強かったので
政府は思い切った救済もできず、
産業界を正常な状態に戻すのに15、6年もかかってしまいました。

その間、産業界を元気づけるために、
政府は低金利政策をとり、
銀行が低利で産業界に融資できるようにしました。
これが正しい対策であったかどうか
私はいまでも疑問に思っています。
年に6%あった定期預金の利息を
ゼロに近いところまで引き下げたので、
金利で生活している人たちは収入源を絶たれ、
消費はふえるどころか政策的に抑えられてしまったからです。

反対に破産しかかった産業界に
低利資金を提供する道をひらいてあげたにも拘らず、
銀行界は日本の不動産業界や斜陽産業には梃子入れせず、
アメリカの投資銀行や禿げ鷹たちに
日本の企業にM&Aで大手をかけるための資金を
只に近い金利で融資しました。
いま四季報の株主欄を覗けばすぐにわかることですが、
日本の優良企業の株主のかなりの部分を
外国人が占めるようになったのは、
低利政策によって日本の銀行が
株や不動産を買う資金を主としてアメリカの禿げ鷹たちに
提供したことからはじまったのです。

そればかりでなく、低利政策は長期にわたって続いたので、
禿げ鷹たちは円で低利の資金を借り、
それをドルに変換して世界中のM&Aに乗り出したのです。
中国株を香港で買う資金だって、
サブプライム・ローンの資金だって
どれだけの資金が日本から借り出されているのかわかりません。
それらの資金によって運用されているファンドに
日本の銀行が更に投資しているのですから、
日本の銀行のやったことは
かなり罪深いものだと私は見ています。
それがめぐりめぐって更に今日の円高を
日本の国にもたらしているのですから、
今後も一歩間違えたら
取り返しのつかないことになるのです。


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2008年11月19日(水)

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