中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3181回
国債買うのも一度は疑って見てから

日本では地方銀行も含めて金融機関が
リーマン・ブラザーズの債権などを購入して
かなりの損害を蒙っていますが、
個人投資家の損害は目立つほどではありません。
それに比べると香港やシンガポールは
ドルと親しんでいる分だけ
銀行から奨められた民間の人たちが
かなり痛い目にあっています。

こういう時は投資銀行の売り出したファンドよりは
国債の方が安全だというので、
アメリカの国債の方が値上がりをしていますが、
民間のピンチを助けるために更に何千億ドルという資金を
政府が支出するとなると、
その分、国債の発行がふえることになります。
ドルの印刷をするだけなら大したコストはかかりませんが、
その分を市場で消化するとなると、
ドルの値打ちは下がってしまいます。
ドルの購買力もおちるだろうし、
他の通貨に対する為替レートも弱含みになります。
そうなると、ドルを外貨準備として大量に持っている
中国、日本、産油国、そして、ロシアなどは
大へんな損失を蒙る危険に曝されます。
こっそり売り逃げようにも誰の目にもつくお金ですから、
とりあえずはアメリカ政府に協力して
恩を売る以外に方法はありません。

しかし、私たちのなけなしのお金ということになると
話はまた別です。
ドルは売られる側の通貨ですから、
同じ財産を持つとしてもドルで持たないに限ります。
たとえば同じマンションを買うにしても、
ニューヨークで買うよりは
北京か上海で買った方が安全でしょう。
また株を買うにしてもアメリカの株を買うより
中国の株を買った方がイライラしないですみます。
アメリカの国債なら安心だと考えるのも
やめた方がいいと思います。
私が40何年前に書いたお金の本に
「何を頼りに生きようか」
というタイトルがついていますが、
お金だって頼りにできないのです。
「じゃ何を頼りに生きればいいのか」
ということになりますが、
最後に頼りになるのはご自分だけです。
その自分も頼りにならない人はどうしたらいいかは
ご自分にきいて下さい。


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2008年11月24日(月)

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