中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3225回
世界の工場から次は商人の天下へ

工業化がすすむと人口の半分を養う食糧が不足するというのが
アジアにおける工業先進国である日本や韓国や台湾の常識です。
1億2千万とか5千万とか
2千3百万の半分が食糧不足におちいっても、
工業化によって生み出したお金がありますから、
食糧の豊富な国からお金で買うことができます。

ところが、人口が13、4億にも達している中国で
もし7億人分も食糧不足が起ったら
不足分を供給してくれる国はどこにもありません。
お金があるから大丈夫だと言っても、
自分たちの代わりに餓死する人をつくることになりますから、
中国はアメリカのように
自国の人を養ってあまりある農業大国になる必要があります。
もちろん、明日にも起ることではありませんから、
皆がその必要性を痛感するのはもう少し先のことになるでしょうが、
それより前に国内消費の奨励だけで
工業生産の増大を刺戟することになるでしょうから、
「熊さん八さんの花見酒」みたいなことが
先ず中国じゅうを席捲することになるでしょう。

かつて日本の高度成長期にも日本国内で年々増大する所得を
お互いに盥(たらい)廻わしにすることで、
パイを年々ふくらませ続けることができました。
それが続く限り経済成長はかなり長期にわたって続くことを
かつての日本の実績が私たちに教えてくれています。
中国の場合、その10倍のスケールで
同じことが起ってもおかしくありませんが、
日本と違うところはその進行過程で
同時に食糧の増産もしなければならないということです。

もちろん、実際に起ることは、国内消費が先行することです。
明日からでもはじまることは
輸出産業のピンチによる企業の清算が一段落したら、
それと入れかわるようにして
中国式「花見酒」の店開きが
大都会から全国の隅々の小都市に至るまで
行き渡ることではないでしょうか。
中国人はもって生まれた商人ですから、
物の売り買いが花咲かりということになれば、
どこの国でも考えられなかったような
華々しい展開になってもおかしくはないのです。


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2009年1月7日(水)

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