中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3230回
アメリカよりうんと少い日本の被害

実物経済が金融不安から受ける衝撃は日本も大へんですが、
アメリカに比べれば物の数ではありません。
1年に何十億円もの報酬をもらって
社用飛行機に乗って商談に出かける経営者の運営する企業が
倒産まで追い込まれるのですから、
再建を同じ人に任せることもできませんし、
同じ組織で起死回生ができるわけもありません。
組織そのものが腐ってしまったようなものですから、
はじめからやりなおしをしなければならないし、
仮にうまく行ったとしても、
かなりの時間がかかります。

それに比べれば、
日本は軽傷と言えるでしょう。
低金利を実施して産業界の再建を銀行に任せたばかりに、
日本の代表的な企業の大半を
アメリカの禿げ鷹たちの蹂躙するに任せてしまいましたが、
禿げ鷹たちの古巣が大火事になって
大挙して逃げ帰ることになったので、
やっとこちらの古巣を取り戻す
チャンスがまわってきたところです。
但し、古巣そのものが
かつてない難しい環境におちいっているので、
立て直しそのものがそう簡単には行きません。
それでも日本人は物づくりの精神と
身についた技術を失っていないので、
どこにいても物づくりで富を生み出すことができます。

たとえば、
ビッグ・スリーが彼等の本家本元で建て直しに成功できなくとも、
トヨタやホンダや他の日本のカー・メーカーが
その代打の役割をはたすことができます。
同じようにさまざまの業界で、
わけても物づくりの世界で、
もっとも有利なロケーションに位置して、
日本の技術と資本をうまく活用した活動を
続けることのできる立場にあります。
日本人は自分たちの生まれ故郷に固執して
結構腰の重いところがありますが、
必要に迫られて腰を上げることができれば、
どこに行っても
メシのタネに困らないだけの才覚を持っているのです。
そこをうまく活用することができれば、
アメリカ人やロシア人より
ずっと次のグローバル化の時代に生きることができます。
日本人が世界的金融不安から受ける被害は
そんなに大きなものではありません。


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2009年1月12日(月)

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