中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3238回
あなたならどちらの品種を植えますか

ティピカ種のコーヒー豆は粒が小さい上に
虫食いも多く、しかも収穫量が少ないので、
目方売りを強いられる農民から敬遠されています。
ですから、植えかえるチャンスがあると、
いまベトナムやインドネシアで植えられている
カチモール種にとって代わられます。
雲南省のティピカはフランス人の宣教師たちによって
もたらされたものと言われていますが、
このままだと次第に姿を消して
「幻のコーヒー」になってしまうのです。

ちょうどその時期に
私が雲南省のコーヒーの産地に乗り込んで行ったのです。
中国人の所得水準はまだ低く、
コーヒーを飲める人はそんなにたくさんいませんが、
成長経済が続いて年々所得水準があがったら、
かつての日本や続いて台湾がそうであったように、
そのうちに中国もコーヒー・マニアの国になるだろうと
私は見ています。
そこで先ず地場の選別工場を借りて
コーヒーの選別を手がけることからスタートして、
とうとう自前で工場を建て、
遂にコーヒーの木を植える作業にとりかかりました。
もう既に6年の歳月がすぎましたが、
勉強することばかり多くて、
成果はさしてあがっておりません。

たとえば、ティピカが第一級のコーヒー豆なら、
将来、中国でもコーヒーマニアのトップに立つ人たちは
必ずティピカを愛用するようになるにきまっています。
どうせこちらは中国一のコーヒー農園を
目指しているわけではないし
一番上等のコーヒーをつくりたいだけのことですから、
さしあたり100万本植えるとしたら、
100万本ともティピカにしようじゃないかと考えます。
ところが、営業を担当する人にして見れば、
一番上等のコーヒーを買う人は一握りのマニアと
そういう人を相手の僅かのコーヒー店しかありません。
レストランもホテルも安くて、まあまあ、
どうにか行けるコーヒーを値切って
仕入れることしか考えていないのです。
そういう消費者を相手にしてどちらを植えるべきなのか、
あなたならどう判断しますか。
正解が出る頃、もう私はこの世にはいませんが・・・。


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2009年1月20日(火)

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