中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3239回
消費者の口までに大きなスキマが

コーヒー豆を植えている現場に行ってみますと、
コーヒー豆をつくっている農民で
金持ちになった人はいませんし、
それらの農民からコーヒー豆を仕入れて
選別加工している工場主にも、
これと言った金回りのいい人はおりません。
加工業者の方がいくらかましですが、
日本で焙煎をしているコーヒー・メーカーの方が
ずっと威勢がいいのです。

何しろ東京の一流ホテルの
コーヒーハウスに出てくるコーヒーは
たった1杯で1000円も1500円もします。
それを原産地の山まで行ったら、
恐らく10円だってしないでしょう。
10円で売る人が金持ちになれないことは
誰だったわかりますが、
でも1000円で売っている人も金持ちにはなれないのです。
コーヒーの原価がいくら安くても、
コーヒーを飲ませる場所を作るのにお金がかかるし、
人件費も高いし、しかもそんな高いところを
利用する人はそんなにたくさんはいないのです。

よく調べて見ると、
コーヒーがお金になっていく過程で
一番付加価値の恩恵を蒙るのは
コーヒーの加工をする焙煎業者だということがわかりました。
この人たちは安いコーヒーを叩いて仕入れて来て、
自社で焙煎包装してサービス業者や流通業者に卸して
その差益を稼ぎます。
そういう業者に
滅多に手に入らない最高級品を提供すれば
喜んで引き受けてくれるのかと私は思っていましたが、
実際にあたって見ると、
安いコーヒーを更に安く叩いて仕入れ、
焙煎の段階で如何にうまくミックスして
消費者の口の中に如何にうまく誤魔かして入れるかが
苦心の仕所だったのです。
それも業者間の競争がきびしくて、
しかもほぼ消費が頭打ちになっているので、
手づくりをしている人に
新しい付加価値を生むスキマは
ほとんど残っていないのです。

こうなったら、焙煎業者をとびこえて
直接消費者に結びつく方法はないかと誰でも考えます。
だって1杯1500円のコーヒーが仮にも300円だとしても
コーヒー豆の原価との間に
まだかなりのスキマがあるのですから。
但し、これとてもシロウトだから、
そう思うだけのことでしょうが・・・。


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2009年1月21日(水)

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