中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3250回
やる気があればズブのシロウトでも

北京のQコーヒーが失敗をくりかえしながら、
何とか軌道を修正して新しい工場づくりにとりかかった頃、
私が成都で開発したショッピング・センターが
何と人口1000万の大都市の、
東京で言えば銀座4丁目の交差点みたいなロケーションになり、
そのキー・テナントをつとめてくれているイトーヨーカ堂が
大へんな賑わいを見せるようになりました。

そのすぐお隣りが2階建てではバランスがとれないから
高層ビルに建て直してもらえないか、
市の方でもできるだけお手伝いをしますからと
成都市長さんにも言われ、
そこへ16階建てのビルを建てて
伊勢丹に入ってもらうことにしました。
伊勢丹に入られたのではお客を奪われるのではないかと
イトーヨーカ堂はとても心配をしましたが、
実際に伊勢丹がオープンすると
大へんきらびやかな店ですが、
値札を見るとかねてから高いと思っていた
イトーヨーカ堂のその倍から3倍もするので、
一旦、入ったお客が廻れ右をしてもう一度、
イトーヨーカ堂に戻って買物をするので、
ヨーカ堂は以前よりもっとずっと
物が売れるようになっています。

開業前、店びらきの準備をしていた
伊勢丹の経営スタッフから
北京のQコーヒーに声がかかったのは、
北京でつくっていたレベルのケーキ屋さんが
成都になかったからでしょうか。
とりあえずはケーキ屋をひらくことからという話で
ちょうど東京で私の秘書をつとめていた
成田君を北京にやったら、
「お前、成都を受けもて」とQコーヒーの総経理から
いきなり伊勢丹に配属されてしまいました。
中国語はわからないし、
私のところに来るまで保険会社で働いていたのですから、
ケーキのつくり方など何一つ身についていません。
私は人事にまでいちいち口を出しませんが、
内心、大丈夫なのかと心配しました。
実際に店びらきをすると、
1日に600元(9000円)しか売上げがなく、
月に20000元の赤字を出している中から
孤軍奮闘して1年半ほどで
1日にシュークリームを1000個売る店になり、
お客が行列するようになったのです。
でも本当はそれよりもっとずっと
面白い話があったのです。


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2009年2月1日(日)

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