中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3256回
神戸肉を雲南か四川で生産したら

日本人がふだん使っている物の大半は
他所の国からもたらされたものです。
唐傘だって、唐辛子だって、唐の国のものだし、
自動車だって、コンピュータだって
アメリカから輸入されたものです。
そのどれをとっても日本人が使うようになると、
あれこれ工夫がこらされ、改良されて、
もっと使い勝手のよい、便利なものになっています。

コーヒーが缶コーヒーになり、
中華そばがインスタント・ラーメンになっただけでなく、
いま世界一の美味と言われる神戸肉や松坂牛だって、
明治の始めの新聞を読むと、
宮中ではじめて食膳に加わったことが報ぜられています。
鋤焼きにしても、農耕用の鋤を使って
倉庫の片隅でこっそり口に入れたのですから、
日本人は肉食民族でなかったことを証明しています。

その日本人が牛肉を食べるようになると、牛肉の改良が進み、
今日では日本の霜降りの肉が
世界のトップを行く美味にランクされるようになりました。
外国から珍客があると、私や家内は日本料理屋に案内するよりも、
先ずステーキ屋に案内します。
日本料理は値段の高いので有名ですが、
代表的なビーフ・ステーキ店は
それに負けないくらい高いお金をとります。
それでも喜ばれるのが日本の牛肉なのです。

日本が牛肉の輸入を解禁した時、
日本の牛肉屋さんの大半は
アメリカやオーストラリアの牛肉をバカにして
ふりむきもしませんでした。
ところが、輸入が常識化して
輸入先の牧場に日本式の飼育法を導入すると、
アメリカでもオーストラリアでも、
ちゃんと霜降りの肉をつけた肉牛が育つことが確認されています。
ちょうどラーメンは日本が中国から持ち帰ってきたものですが、
いまでは中国でも
日本式ラーメンを商売にしている人がふえているのと同工異曲です。
ですからそれと同じことを牛肉の分野でも
日本人は日本国内だけでなく、
外国でも次々と展開して行くことができるんじゃないでしょうか。
日本茶だけでなく、いまに神戸肉も松坂牛も
お隣りの中国で生産することができるようになるんじゃないかと
私は見当をつけています。


←前回記事へ

2009年2月7日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ