中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3264回
中国の老化より私の老化が一足先

中国の工業化がすすむと、
中国が食糧不足に見舞われる時が来るということが
私の頭の中にあったので、
つい食糧や食べ物の話に夢中になってしまいました。
しかし、食糧不足におちいると言っても、
いますぐに起ることではなくて、
10年を1つのくぎりとして10年後か、20年後のことでしょう。
もうその頃は私もこの世にいないのですから
何も死んだあとのことまで私が心配することはないのですが、
私は用意のいい方ですから、
私のあとをついで事業を展開する人たちのふところ具合まで
つい考えてしまうのです。

本当はそんなことよりも、
中国が日本の後を追って老齢化が進むことが一足先に来ます。
とりわけ一人っ子政策をとってきたので、
親の面倒を見る子供よりも面倒を見てもらう親の老化が先に進み、
1年ごとにふえ続ける老齢化に対する対策の方が
大問題になるのではないでしょうか。
ですから私は食糧問題とアンティ・エージングを
中国のこれからの二大成長産業と考え、
どこから手をつけてよいのか、模索を続けているところです。
とりわけ老齢化対策は社会全体の問題であるよりも
先ず私自身の問題ですから、何か耳寄りな話があったら、
私の方が先にとびついて自分自身が実験台になってしまいます。

たとえば「絶世美人」に辿りついたのも、
顔の皺やシミが気になるようになったからですが、
私が一番嫌がっていたのは
実は腰を曲げて年寄り臭い歩き方をすることでした。
或る時、台湾の秘書を連れて香港に行ったら、
私のあとについて歩く秘書が
運動靴を穿いているのに気がつきました。
「どうして運動靴なんだ?」ときいたら
「センセイの歩き方が早いから
遅れるといけないと台北のマネージャーに言われて」
という返事がかえってきました。
私は怒るに怒れず、そのまま靴屋にとびこんで
バリーの靴を買って穿きかえさせたことがあります。
その私が新しくなった北京や上海の空港の長い長い通路を
ついに腰をきちんと伸ばせずに
ヨチヨチ歩きするようになってしまったのです。


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2009年2月15日(日)

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