中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3268回
日本銀行はなぜ円高にブレーキをかけないのか

アメリカの金融不安が
世界中の銀行に大きな損害をあたえるだけでなく、
遂に実体経済にまで影響を及ぼすようになりました。
アジアの国々だけでなく、
ルーブルやオーストラリア・ドルだって
マイナスに動いているのに、
ひとり円だけが円高に買いあげられて、
日本の輸出産業に甚大な損害をあたえています。

円高になるということは、
円に対する需要が強いということですから、
世界中のお金が日本に動いていることになります。
ドルがSOSを発信するようになって、
世界中に投資している資産を処分して
アメリカに引き揚げているさなかで、
逆に円だけが買われているということは、
円建てで借りていた資金の返済を迫られているからだと
解釈するよりほかありません。
そう判断して私は円高はそう長くは続かないだろうと
タカをくくっていましたが、
私の予想を越えていまも円高が続いています。

それをどう解釈すべきかというのも1つの問題ですが、
円高が続けば日本の輸出産業が軒並み大赤字になって、
税収にも響くだけでなく、
人々の懐具合に大きな打撃をあたえます。
円高に少しでもブレーキをかけるために、
日本銀行はどうして円の放出をしようとしないで、
利息を下げることにばかり力を入れるのでしょうか。

産業界のピンチを救うために、
バブルのはじけた後は
金利を限りなくゼロに近い方向に政策転換しましたが、
結局は金利生活者の収入を減らして
消費を抑制しただけでなく、
低金利の資金を禿げ鷹たちに提供して
日本の優良企業を外資の支配下におく
結果をもたらしました。
今回は円を発行して少しでも円高にブレーキをかけて
企業の採算悪化を防ぐべきなのに、
円高は放置しておいて
相も変らず利息の切り下げに血道をあげています。
いくら金利を安くしても、
それによって銀行が中小企業の倒産を
防いでくれるわけではありませんから、
大事な時にトンチンカンな対策をとっていると
ヤキモキしているのは私だけなのでしょうか。


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2009年2月19日(木)

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