中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3273回
どこの国もダーティ・フロートが常識です

アメリカの新しい財務長官が
中国政府は人民元の為替レートを
自分たちに有利なように操作していると発言して、
中国の人民銀行のトップたちから
激しいひんしゅくを買っていますが、
どこの国の政府だって
為替レートを自国民に有利な方向に
誘動していると言ってよいでしょう。
現にアメリカの政府だってこれ以上ドルが暴落したら、
アメリカの国債を買ってくれる外国の政府が
なくなってしまいますから、
大へんなことになってしまいます。
自分たちが大量にドルを発行しておいて、
その一方でドルの値下がりを防ごうというのですから、
そうはうまく事が運びません。

中国の場合は世界一たくさんのドルを
外貨として持っていますから、
人民元が値上がりしたらその分だけ
ドルが目減りするばかりでなく、
輸出が困難におちこんで赤字になる業者がふえます。
当然のことながら、ドルの値下がりに
ブレーキをかける立場におかれているのです。
ですから、ドルのこれ以上の値下がりがないように
あらゆる手段をとることを惜しまないにきまっています。
それでも支えきれなくなる時がやがては来るでしょう。
その時になったら人民元が切り上げになって、
ドルの暴落が現実の物となるのです。

本当は日本でも
日本経済のこれ以上の停滞を防ぐために、
日本銀行が日本円の切り上げに
ブレーキをかけなければならない立場にあります。
ところが、日本政府はバカ正直というか、
円高によって日本の輸出産業が壊滅的な損害を受けるのを
無手勝流でジッと見守っているだけなのです。
こんなことではたしてどれだけの企業が
国際的な生存競争を生き抜いて行けるのでしょうか。

自己防衛本能に従って、日本の一流企業は
その生産基地を海外に移す手に出ています。
と言うより移す以外に生き残れなくなっているのです。
日本政府は自国の企業や人に対して
そういうなまけた対処の仕方で
間に合うと思っているのですしょうか。
あまりにも国際センスに欠けていると思いませんか。


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2009年2月24日(火)

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