中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3276回
日本の銀行はもっと堕落しています

アメリカの投資銀行や証券会社が金融不安のさなかで、
日本をはじめ、
アジアの各地で投資していた株や不動産を売りにまわるので、
株も不動産もかつてない安値までおちこんでいます。
その影響を受けて、台湾でも韓国でも
自国通貨がドルより安値まで叩き売られていますが、
ひとり日本円だけが高値まで買われて、
日本は不況による輸出減のほかに円高で
往来ビンタをくっているところです。

円高になるということは円に対する需要が多いということですから、
世界中で株や企業を叩き売ってドルで回収したお金を
円で借りていた借金の返済にあてていると
解釈するよりほかありません。
日本の個人がそんなにたくさんのお金を
海外で投資しているわけもありませんから、
これは金融のプロたちの間のお金の貸し借りということになります。
日本の金融機関は只に近い利息で日本国中から集めたお金を、
バブル後の日本企業の再建に融資する代わりに、
アメリカの銀行に
日本円で融資していたと考えるよりほかありません。
アメリカの銀行も
「お金でお金を稼ぐこと」にうつつを抜かして
今日のピンチを迎えましたが、
日本の銀行はもっと横着な生き方をしてきたことがわかります。
その結果が日本の優良企業の大半を外人所有にしただけでなく、
日本のこれからの輸出を困難におとし入れることになったのです。

その証拠にバブルがはじけたあと、
中小企業で銀行から融資を受けて事業の建て直しをした人が
はたしてどれだけいるのでしょうか。
大企業でさえも銀行からの融資をあてにせず、
社債を発行して資金づくりをするようになったのですから、
銀行が事業をやる人の手助けをするという
本来の役割をはたさなくなって既に久しいことがわかります。
私が「銀行とつきあわない法」を書いたのが1999年ですから、
もう10年以上も銀行が堕落し続けてきたことがわかります。
日本経済の再建は
銀行の力を借りないでやらなければならない時代になったのです。


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2009年2月27日(金)

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