中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3278回
お金でお金を儲けることは不可能です

お金を銀行に持って行って
定期預金にしておくと利息をくれます。
少し前までは年に6%の利息をくれました。
景気が悪くなって政府が政策的に低金利にすると、
それが1%前後になってしまいました。
老後のことを考えてせっせと貯金をした人たちは
利息で生計を立てることができなくなってしまったのです。

お金を扱ってお金儲けをする
銀行や投資銀行や証券会社は
そういう人たちに投資信託や社債を売りつけて、
それに銀行利息よりは少しはましな配当を
つけるようになりました。
そうして集めたお金を運用することによって
配当金を捻出するのですが、
お金でお金を儲けることができるかというと、
それには条件があります。
集めたお金を投資した先が毎年毎年
着実に収益をあげてくれることです。

銀行が営利事業に従事する企業に融資する場合は、
融資先が着実に利益をあげ、
その中から金利分の代金を支払ってくれるので、
銀行と預金者で大体、半分分けをすることができます。
万一、それができない場合は、
銀行の見立て違いですから銀行がその損をかぶります。
当然のことながら金を貸す場合、
銀行は慎重の上にも慎重をかさねて融資先を選定します。
それでも貸倒れにあうのですから、
大へんしんどいビジネスです。

ところが、一流銀行や投資銀行が
集めたお金で優良企業に投資をし、
絶対大丈夫だというお墨つきとして
これまた超一流の保険会社が保証するとなると、
大抵の銀行が集めた預金を地元の事業体に貸すよりも、
一流の債券や基金を買って
要らざる頭痛を廻避する道を選ぶようになります。
問題は超一流と見なされた金融機関の
お金でお金を儲けるビジネスが
はたして長続きするかに搾られてきます。
それが実は砂上の楼閣にすぎなかったことが
現実になったというのが
サブプライム・ローンの破滅に端を発した
世界的な大恐慌なのです。
融資した先がお金を儲けてくれなかったら、
破綻することははじめからわかっていたことなのです。
少なくとも10年前に私はそのことを指摘しています。


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2009年3月1日(日)

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