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第3299回
暴動の多発は中国式民主化のプロセス

日本では中国を共産主義の国と思い込んでいる人がたくさんいます。
新聞で論議を展開している人たちの多くがそうした前提に立って
あれこれ意見を述べています。
でも私の見方は少し違います。
いまは中国共産党が政権を握っているけれども、
中国は本質的に官僚専制が何千年も続いてきた国であり、
いまもなおそれが主流を占めている国だと見ています。

清朝までは天下をとった人が皇帝になって
代々国を支配してきました。
蒋介石の天下になると、蒋介石が皇帝扱いされ、
毛沢東の天下になると
国をあげて毛沢東を皇帝扱いにしてきたのです。
胡錦濤が国家主席になっても
官僚専制の伝統はそのまま受けつがれていますが、
以前に比べて大きく変わりつつあることは、
官僚専制の体制が崩壊する方向に向っているということです。

日本では中国で暴動が多発しているから
共産党の天下はもうそう長くはないのではないか
という見方が有力です。
でも昨今起っている暴動の対象は
ほとんどが地方政府の官僚や警察の
理不尽な行政措置に対する不満に端を発しています。
昔はなかったことが次から次へと起っているのは、
昔は暴動を起すと、
暴動を起した者は一人残らず皆殺しにあったのに対して、
いまは運の悪い奴が殺されるだけで、
地方官僚の横暴や悪事を中央政府に訴えることができます。
つまり中国が民主化の方向に向っているという何よりの証拠で、
一番賢明な方法とは言えませんが、
政治の改革に大きく役立っているのは事実です。

そうした暴動を可能にしたのは、意外にもパソコンの普及です。
どこかの地方で役人や警察が悪事を働くと、
それをいち早く察知した人たちがパソコンのキイを叩きます。
何万、何十万というパソコンがすぐそれに反応します。
悪事はたちまち中央政府の知るところになります。
何がはじまったかというと、
役人や警察をやるのが容易なことではなくなってしまったのです。
そう感心した民主化のプロセスとは言えませんが、
国の政治の改造には大きな役立つことになったのです。
そういう角度から中国の暴動をごらんになったことがありますか。


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2009年3月22日(日)

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