中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3298回
中国の8%成長対策は既にスタート

いま世界中がごった返えしになっているのは
金融不安の津波が押し寄せる過程で、
遂に実体経済にまで及び、
アメリカのビッグ・スリーと呼ばれる
自動車メーカーだけでなく、
トヨタやホンダ、更には韓国やヨーロッパの
自動車メーカーまでが減産に追い込まれ、
大赤字と金ぐりに追われるようになったからです。
銀行や証券会社や保険会社の倒産だけなら、
紙の上のやりとりだけですから
被害は大きくても、精々、従業員の首切りまでですが、
それが生産事業にまで及ぶと、
工場の操業や新規投資の延期や中止にまで影響をあたえます。
或る特定の業種からはじまったピンチが
次々と他業種にまで波及しますから、
産業界全体の業績や雇用事情や
さては国の税収にまで大きな影響をあたえます。

たとえば、自動車や先端産業が軒並み赤字になると、
従業員を解雇するだけでなく、
設備投資を先延ばしにしたり、中止したりしますから、
工事中の請負業者や設備業者は大へんな損害を蒙ります。
発注者がその補償をするかというと、
損害賠償が充分に行われることは先ずありませんから、
建設会社の株価を見てもわかるように、
額面割れまで追い込まれることも珍しくありません。
そのまた下請け業者に至っては
軒並み倒産ということになります。
それが金融恐慌の比較的少いと言われている日本で
これから受ける損害であり、
皆さんが考えるよりかなり深刻且つ長期にわたる打撃を
国全体にもたらすと私は見ています。

中国は、輸出がGDPの4割を占める経済構造ですから、
打撃は決して小さくはないのですが、
迅速な対策がとられ、既に公共投資の発注が出されています。
それも、3月中に工事をスタートしなければ
発注は取り消すというきびしい条件つきですから、
公共工事は既に全国一せいにはじまっているのです。
同じ建設事業の動きにしても日本と中国とでは
これだけの差が出ているのですから、
1年もすると大きな差が出てきます。
私は両方を見ていますので、
これで日本は大丈夫なのだろうかと心配になってしまいます。


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2009年3月21日(土)

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