中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3301回
役人より金持ちになりたい人がふえます

ほんの少し前までは
国際電話をかけるのも容易でなかったし、
国によっては外国のラジオやテレビを遮断して、
その国の人たちをつんぼ座敷に
とじこめておくこともできました。
しかし、これだけ通信の手段が普及すると、
世界中のどこでどんなことが起ったかは
物の5分もしないうちに、
全世界に知れわたってしまいます。
人々の目や耳を塞ぐことは
どんな独裁者にもできなくなってしまったのです。

中国共産党がもし国民をつんぼ座敷に
とじ込めておくことができたなら、
もしかしたら北朝鮮のようなやり方をすることも
できたかも知れません。
しかし、中国には悠久4千年もの歴史があるし、
革命を起した当事者たちも
レベルの低い連中ばかりではありませんから、
経済が短期的にこれだけ発展したのを見てもわかるように、
アメリカやヨーロッパと同じ道を走ったわけではありませんが、
文明の利器はフルに取り入れて
ショート・カットを走り続けています。

そうなると所得水準はあがるし、
パソコンも携帯電話も
欧米の先進国に負けないだけ普及し続けています。
少し前までは役人や警察も勝手なことができましたが、
これだけ情報の手段が普及したら、
「悪事千里」は文字通り瞬間的に知れ渡ってしまいます。
役人や警察が人にかくれてふところを肥やすことは
もはやできなくなってしまったのです。
それが暴動の火つけ役になっているし、
汚職役人や無法警官の摘発にも役立つようになりました。
ですから役人の汚職を減らすことにもなるし、
警察官の襟をただす役にもたっています。

私は10年も前から
いまに役人と警察の成り手がいなくなりますよと
冗談半分に言ってきましたが、
国全体が豊かになれば、お金を持っていることが
権力を持っているよりも優位に立つようになります。
そうした経済の先駆者たちの意見が
政治に大きく影響するようになりますので、
政治体制に大きな変化をもたらします。
果してそうなるかどうかはこれからの10年で決まります。


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2009年3月24日(火)

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