中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3302回
中国もいよいよ農業立国の時代に

最近、私は中国農業の大型化に関心を持つようになりました。
本来ならもっと早くに気づくべきだったのですが、
どうして遅れたかというと、
日本で工業化のすすむ過程で農業が遅れをとり、
産業界の発展して行く段階で置き去りにされて行くのを
目のあたり見てきたからです。

戦後の日本では、
農地を地主からとりあげて小作人に分けあたえ、
農民を保護するのを建て前にしてきましたが、
零細農民に肩入れするあまり大型農業を禁じてしまいました。
代わりに農協を組織して肥料の手当てから
農作物の流通にまで関与させましたが、
農協はお役所の延長みたいなものですから、
企業のような対応ができず、
結果として農民に対する
金貸しを本業とする組織に堕してしまいました。

農業からの収入は成長し続ける工業には及ぶべくもなく、
結果として弱年労働力は大量に工業に移り、
農政はいわゆる3ちゃん農業でその場をしのぐようになり、
やがて後継ぎのない斜陽産業になってしまいました。
現に農業に関与している人たちは実質、日曜農民が主流になり、
しかも休耕地を人に貸すと返却してもらえないことを恐れて
荒れるに任せるようになったので、
食糧の大半を輸入で賄っているというのに、
尨大な農地が休耕地化してしまっています。

そういう現状を見て、
工業が発展すれば農業が駄目になるのは避けられない
という先入観ができてしまい、
私は中国も同じ運命を辿るのではないかと思い込んでいました。
ところが「世界の工場」が稼動して
何千万人という農民が工業生産に移るのを見ているうちに、
農業がこれ以上、手薄になったら
大へんだと思うようになりました。
工業に人口が移って7億人分の食糧が不足するようになったら、
それだけの人口を養う食糧を供給してくれる農業国は
世界中どこにもないのです。
中国はいやでもこれから農業に力を入れるよりほかない
ところまで追い込まれているのです。
農業生産の合理化は工業化に成功した中国の
次の最大のテーマになったのです。


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2009年3月25日(水)

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