中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3309回
日本の米と牛肉を外国でつくろう

日本を代表する食べ物は何かときかれたら、
皆さんは何と答えられますか。
少し前までなら、スシ、天ぷら、鋤焼と答えたかも知れません。
でもいまはラーメンだって、ギョウザだって、カレーライスだって
日本人が一番よく食べる料理になってしまいました。
時代が変わると、その国の人に一番親しまれる料理だって
ドンドン変わってしまうのです。

では日本人が食べている食材の中で
何が一番世界に冠たるものでしょうか。
それは日本人がだんだん食べなくなったお米と、
食べたくても高くなりすぎて食べられなくなった
和牛の牛肉ではないでしょうか。
日本人は物づくりに本腰を入れると、
宝石でも磨くように精神を集中するので、
米でも牛肉でも世界中どこの人も真似できないような
見事な製品をつくりあげます。
その代わり値段も常識をこえる水準まで押し上げてしまい、
日本の米はタイやベトナムの10倍、
日本の牛肉はアメリカやオーストラリアの3倍、
それが料理になって出てくると、
外国人には信じられないような値段になってしまいます。
日本に出張した上司の持って帰った領収書の整理をする
アメリカやヨーロッパの社長秘書たちがいつも驚いて
「お間違いないでしょうか」ときくのも不思議ではありません。

ところが、そのお米や牛肉が上海や北京のデパートに並んだり、
ビフテキ屋の人気商品になりつつあるのです。
中国の国民所得は上昇気運に乗っていますから、
そのうちにこうした日本のトップ商品が
輸出されるようになるでしょうし、
日本の自動車が外国でも次々と生産されているように、
あまり遠くない将来に現地でも生産されるようになります。
いまのところ日本に一日の長がありますから
まだ当分は大丈夫でしょうが、
何年もしないうちにお米や牛肉の生産基地も
もっと大量且つ安上がりにできる地域に移ることになります。
外国人がそれをやるより日本人が率先して外へ出て、
日本人の手で世界に拡めるようにするのはどうでしょうか。
グローバル化とはそういう動きのことだと思いますが。


←前回記事へ

2009年4月1日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ