中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3311回
トロの美味は中国人にもわかります

私は40年ほど前に、グローバル化がはじまったら、
いまに日本料理と旗を立てて世界旅行という日本式グループ旅行が
世界を風靡するようになるだろうと予言したことがあります。
いまや旗を立ててグループ旅行はアメリカ人もヨーロッパの人も、
さては中国人もやるようになりましたが、
日本の農業は衰微する方向にあると見えて、
農協の旗はあまりみられなくなってしまいました。

しかし、そう歴史は長くないのに、
回転ずしは香港や台湾はもちろんのこと、
ヨーロッパやアメリカにも進出して人気を呼んでいます。
日本の取引先にスシ屋でご馳走になったアメリカ人が
高いのを承知でもう一度自腹を切って
同じスシ屋に出かけて行って
「エコノミーで」と言って注文をしたら、
支払いをする時に
「バカに高いじゃないか」と文句を言うと、
スシ屋のおやじに
「だってお好みでとおっしゃったじゃありませんか」
と言いかえされたという笑話が残っています。

私が台湾から来たお客をスシ屋に連れて行くと、
はじめからおしまいまでトロの注文をする人があって
ハラハラさせられます。
トロが美味なことは中国人にもよく知られるようになって、
とうとう上海にもトロを専門に売る
「天家」という店が出現しました。
私も上海で働いている若いパートナーたちに誘われて
何回か行ったことがありますが、
島原さんという若いオーナーにきくと、
最初はまるで客が入らなかったのがいまは90%が中国人。
日本人は1回来ても、勘定を払う段で驚いて
2度と来る人は滅多にないそうです。

それでもマグロの味を知るようになると
懐具合を気にしない人たちがだんだん集まるようになって、
いまでは上海に4店、蘇州に1店、
そして北京に6店目が新規開業したそうです。
高いと言っても1人前が500元ていどですから
日本とは比べ物になりませんが、中国人の常識をこえた値段です。
しかし、マグロの味がわかるのは
日本人だけだと思ったら大間違いで、
グローバル化が日本の食べ物にも起っているのです。


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2009年4月3日(金)

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