中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3333回
8年前に予言したことが実行の段階へ

最近、私が中国の工業化が進むにつれて
食糧不足におち入るのを見越して
中国の農業に関心を持つようになり、
更に一歩進んで日本の農業技術を中国で展開する
具体的な方法について言及するようになると、
「この間まで農業関係の上場企業をバカにしていたじゃないか」
と言って私をなじる人もありますが、
ごく親しくしている人から
「センセイは8年も前に農業の海外大移動について
ハイハイQさんにちゃんと書いておられますよ」と
2001年に出版された「生きるヒント・生かせるヒント」という
PHPから出版された単行本を見せつけられました。

手にとってひらいて見ると、
「ユニクロ現象が時代の流れです」と書いてあって、
日本で規格したりデザインした生産事業が
コストの安い地域に移って、
そこで生産した商品がブーメラン現象を起すのが
この次の時代の動きだと指摘しています。
この傾向は縫製加工の分野で起るだけでなく、
農業にまで及ぶだろう、
農作物も安売りをしない方法を考えなければならなくなり、
ブランド商品の時代になる、
その実例として永田農法による完熟トマトを例にあげています。

「いまのところは色々と理由をつけて
輸出入にブレーキがかかっているので、
完熟トマトや温室ミカンの栽培ができますが、
外国のもっとコストの安いところで、同じ栽培法をやれば、
同じものがもっと安い値段でできてきます。
だから園芸のような芸術的農業なら大丈夫だと
安心してはおられません」と警告していますが、
「農業は土地に縛られると言うけれど、日本の土地に限りません。
志のある人はいまに外国に行って
農業をやることになるでしょうね。」と予言しています。

既に8年前に「ほぼ日刊イトイ新聞」に連載していたことが
その時にはすぐ実現せず、
8年たって更に一段と現実的な要求になって
具体化するところまで来てしまったのです。
もはやこれは社会全体の要求であって、
私の個人的な見解ではありません。


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2009年4月25日(土)

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