中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3336回
野菜より大産業になる中国の牧畜業

中国はこのまま工業化がすすむと、
工業人口がふえた分だけ食糧不足におちいるおそれがあるから、
農業部門の建て直しが大問題になるだろうと私は見ていますが、
もちろん、それが世間一般常識になっているわけではありません。

現に金融不安のおかげで買い控えがすすみ、
食糧の価格も落着いていますから、
そんな話をしてもピンと来ない人がたくさんいます。
とりわけ中国は金融不安の影響を最も受けない側に属しますから、
一般人の危機感は更にうすいし、
むしろ所得水準の上昇によって高級化する嗜好に
どう対処するかがさしあたりの問題になっています。
スーパーやデパートの地下にある食品売場を覗いて見ても、
溢れるように商品が並んでいるだけでなく、
かつては手の届かなかった贅沢品に人気が集まっています。
つまり高級化する需要と
そうした需要に見合った供給を
大量に提供する必要に迫られる時代が来ている
ということになります。
長く魚に親しんできた日本人より中国人は肉食人種であり、
料理も肉と野菜が中心ですから
贅沢化がすすんだら、
どういう変化が起るかを予想して
対応する必要が必らず起ってきます。
既に何回かふれたことですが、
経済が発展して所得がふえると、
どこの国でも牛肉の需要がふえ、
豚肉にはあまり変わりがない代わりに、
鶏肉の需要が逆に減少します。
いま中国は牛肉の値段が一番高く、
鶏肉が一番安い状態におかれていますが、
需要がふえれば、牛肉の大量生産によって牛肉の値段を
豚肉並みに下げる動きが出てくると同時に、
牛肉の高級品に対する需要がふえるに見合った形で
松阪肉とか神戸肉とか、産地別の、
もしくはメーカー別のブランド化がすすむことは
先ず間違えないでしょう。

そういう目で生産地を確める必要があると考えて、
大規模農園の視察を終えると息をつく間もなし、
大連の雪龍牧場をスタートに、
雲南省から寧夏回教自治区まで駆けまわって
やっと北京まで戻ってきたところです。


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2009年4月28日(火)

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