中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3337回
行く度に変わる牧畜業に対する評価

大連から高速道路を1時間ほど走った炮台というところに、
日本式の牛の飼い方をやっている雪龍牧場という
霜降り牛肉専門の牧場があります。
これで立て続けに三回、現場の見学に行きましたが、
行く度に新しい発見があり、
いまだに興奮がおさまっていません。

1回目は自分の秘書と最も牛肉をたくさん使う
うちの成都の牛々福という焼肉店の総経理と3人で行き、
1万頭も飼っているその広大な牛舎のスケールに
驚いて帰ってきました。
似たような構想を持っていたので、
3年間、只々お金を注ぎ込むばかりで
一文の収入もない事業に真剣に取り組んできた
この牧場のオーナーの情熱に感嘆し、
この人と組めば、
もう既に商品を市場に出しているのですから、
少くとも4年間は時間の節約になるのではないかと思いました。

2回目はもしかしたら雲南省に牧場をつくるべく
スケジュールを組んでいた将来のパートナーに
既に先覚者がいることを見てもらう必要を感じて
雲南の企業家たちを呼んで現場を見せてもらったのです。
もちろん、思いもよらない光景でしたから、
皆一様に興奮していましたが、
「大連でできるなら、雲南でもできる。
牧畜に必要な3つの条件とも
うちの方が有利ですから」
と言って帰りました。
でも大連側は自分も中国人なのに、
「中国人にできるわけがない。
雲南に来てくれと言われても、
そんなに簡単に行けるものではありませんね」
と否定的な反応を示していました。

3回目は私に中国で日本式の牧畜を提案した
日本のプロたち一行を連れての現場視察でした。
日本の黒牛をオーストラリアに持って行ったり、
アメリカで穀物で牛を育てる仕事と
実際にかかわった人たちですから、
飼育の仕方から牛肉の品質、
さては屠殺の工程から、
枝肉や臓物の販売の仕方まで
飼育とはまるで違った意見をきかされます。

そうなると霜降り肉をつくられることよりも、
市場がそれを受け入れてくれるかどうか、
また売れないで残った油や内臓をどう処分するかということが
経営を大きく左右することを
いやでも認識させられることになります。
結構、難しい商売なんですね。


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2009年4月29日(水)

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