中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3354回
台湾海峡は夕焼け小焼けで波は静か

共産主義の国々は大抵が軍事力を背景にして
国づくりをしてきたので、
武力行使をちらつかせて外交交渉をします。
共産中国にもそうしたやり方が身についていて、
台湾との交渉事がうまく行かないと、
二言目には「武力解放」をちらつかせてきました。
「目には目、歯には歯」ですから、
何年たっても、何十年たっても、
問題は先送りになって
もうかれこれ半世紀がすぎようとしています。

でも考えて見れば、
腕っぷしに物を言わせるのが
唯一の解決法ときまったわけではありません。
陳水扁政権の末期に
連戦国民党主席が大陸を訪問したことからはじまって、
大陸と台湾の間に雪解けが急速に進み、
とうとう中国各地との間に直行便がとぶようになりましたが、
大陸政府も台湾の人たちをうまく抱き込むことが
腕っぷしに訴えるよりも、
ずっと効果的なことを確信するようになったようです。
何も一戦交える必要はないのです。

というわけで、
いま台湾海峡の波はかなり穏やかになり、
大陸からの観光客が大挙して台湾入りをはじめたことは
新聞にも報道されている通りです。
また中国資本による台湾への投資が認められるようになると、
そのニュースが発表された途端に台湾株のダウが
18年ぶりの値上がりをしました。
相互の銀行の乗り入れもきまったし、
あとは大陸資本の不動産投資がそれに続きます。
となると、しばらく低迷していた台湾の不動産業界も
一挙に活気を取り戻し、
返還後の香港で起ったことが
台湾でも再現する段階にさしかかったと見てよいでしょう。

台湾ではいまでも蒋介石時代の悪政に対する
恨みつらみが忘れられず、
独立を志向する人々が少くはありませんが、
時代の変化がそれを解消する方向に大きく動いています。
成長する中国経済の中で台湾企業のはたす役割は
大きくなることはあっても
消えてなくなるわけではありませんから、
どちらにとっても悪い話ではないのです。
久しぶりに台北へ帰って、
それを実感して東京に戻ってきたところです。


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2009年5月16日(土)

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