中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3364回
工業的豊作は抜本的対策が必要になる

中国では世界的金融不安の津波の影響は比較的少いのですが、
株をやったり、投信を買っている人は
それなりに大へんな損害を受けます。
すると、財布の紐を締めにかかりますから、
物が売れなくなります。
その影響が中国のように対外貿易、
わけてもアメリカへの輸出に依存している地域では
まともにその損をかぶります。
物が売れなくなると需要と供給の均衡が崩れて、
工場が操業を停止したり、
失業者が巷に溢れて社会不安を惹き起します。

農業の豊作なら天気が崩れればすぐに不作になって
バランスがとれるようになりますが、
私の言う工業的豊作は操業を停止しない限り、商品の山になり、
どちらが潰れるかというところまで行きついてしまいます。
しかし、金融不安が実態経済の不況に及ぶと、
いま世界で起っていることを見てもわかるように忽ち、
操業の停止と従業員の解雇に続きます。
大きな企業で資金の豊富な企業なら大丈夫と思うのは真赤な嘘で、
世界を代表するような自動車会社から
電気製品のメーカーに至るまで
忽ちピンチにおちいってしまうのです。

たとえば、自動車メーカーは戦後からこの方、
一ぺんも今日のような破産寸前まで
追いこまれることはありませんでした。
そういう事態に備えることすら
念頭になかった経営者ばかりでしたから、
大赤字が2年ごしになると、
これにどう対応するのか、
救済を要求する方も救済を要求される方も、
どこから手をつけたらよいのか、
さっぱりわからないというのが本音ではないでしょうか。
従ってこの不況は2年でとまるかどうかも
実は誰にもわかっていないというのが本当でしょう。
工業界にかつて経験したことのないような
再編成が起ることもあり得るし、
いまのようなシステムやロケーションで
はたしてやって行けるのか、そう簡単に答えがでません。
中国の株価は底に届いたように見えますが、
日本の一流企業でも赤字が2年でとまらないとなると、
日本は日本だけで、また中国は中国だけで
操業が再開できるものでしょうか。
どこの工場を残して、どこを閉鎖するか、
グローバル化に対応する必要があるのではないでしょうか。


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2009年5月26日(火)

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