中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3365回
工場はドンドン海外に移せ

不況になって産業界がピンチにおちいると、
必らずどこの国でも自国産業のことを優先的に考えて、
「バイ・アメリカン」だとか、
「日本人は日本製の物を買え」という声が高くなります。
現に不況がはじまると、
北京でも上海でも外国企業が引き揚げにかかります。
昨年からはじまって、日本企業も韓国企業も
かなりの会社が工場や事務所を畳んでいます。

でもそんなことをすれば、
世界がグローバル化の方向に向っているのに、
また国境に壁を立てて人の出入りにも、
物やお金の出入りにもストップをかけることになってしまいます。
グローバル化とは国境の壁をぶちこわして
人の出入りをできるだけ自由化するだけでなく、
物の出入りもお金の出入りも自由化することです。
いまは物の動きに対して国によって税金のかけ方が違うので、
「どこでつくったら一番安くできるか」ということと、
「どこでつくったら税金が安くてすむか」という
いたちごっこの時代になっています。

それを不景気になった途端に、国へ引き揚げるというのでは
単純に昔に戻るということになってしまいます。
国によって税金のかけ方が違いますし、
それが改正されることもあるわけですから、
色々と面倒な配慮が必要ですが、
日本の工場だって、日本に商品を売る場合も含めて、
いままでと違った工場文化が必要になります。
たとえば日産はタイの工場を残した方がいいと
言っているようだし、
パナソニックは日本の工場はやめても
中国の工場をふやす方向に動いているときいています。
仕事が一時途絶えたから、深はやめた、無錫はやめたでは、
日本はグローバル化どころか、
海外に日本製品を売りに行った昔に戻ってしまいます。
いまこそ業種によって、また販売先によって
工場をどこにつくるか、
慎重に考慮する時代に入ったのではないでしょうか。
生産基地をどこにするかということと、
どこの国の企業であるかということは
全く関係がなくなる時代になったのです。
日本企業がドンドン海外に工場を移す時代です。


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2009年5月27日(水)

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