中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3370回
環保対策の第1号は東江環保でしたが

日本のような水に恵まれた国で最先に起った水の問題は
工業化によって発生した汚水処理の問題でした。
50年ほど前、まだ高度成長がはじまったばかりの頃、
栗田工業という水処理の株が
青空株に顔を出すようになったので、
私はわざわざ大阪にある栗田工業の本社に
顔を出したことがあります。
「工場を見せてくれと言われたって、
汚れた水を入れた水槽があるだけだよ」と
創業者であった元海軍機関大尉の栗田春生さんが
私に対応してくれました。

その後、日本にはオルガノとか、
更にはポンプ屋の荏原製作所が
大々的に汚水処理にたずさわるようになったので、
汚水処理が工業化社会で如何に大切なものであるか
認識している人も少なくないと思います。
しかし、まだ工業化がはじまったばかりの中国では、
政府が汚水を排出する工場に罰金を課しても、
「罰金を払うのと、装置の設備をするのとどちらがトクか」と
計算する経営者が後を絶ちませんでした。

やがてそれだけではおさまらない時期まで来て、
私も環境銘柄はどこだと汚水処理、環境改善銘柄に
注目するようになりました。
どこの大都市にも環境対策事業に携っている企業がありますが、
大抵はその都市の予算を使って汚水処理をしているだけで、
民間企業はほとんどありません。
今後、拡大する汚染対策に対応して行くためには、
(1)政府主導でなくて民間企業であること。
(2)天津とか上海とか1つの土地だけで
事業をやっている企業でないこと。
(3)上場をしてから決算期ごとに少なくとも毎年、
50%以上の成長の実績があり、
僅かでもちゃんと配当をしていること。
という条件をつけて銘柄探がしをやった結果、
最初に私の手元に残ったのが深に本社をおく東江環保でした。
私が最初に買った時は誰も注目していなかったので
1株80セントでしたが私が株を買いはじめたことを知ると、
たちまち多くの投資家に注目されるようになり、
あッという間に6ドル近くまで買い上げられました。
それがいまは2ドルを割っているのです。


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2009年6月1日(月)

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