中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3403回
大企業の救済は不可能に近いと見ます

倒産する企業を救済するために
政府が片っぱしから援助の手をさしのべるのに、
政府が濫発した紙幣が巷に溢れ、
すぐにも大インフレが襲いかかってくると錯覚する人がいます。
でも実際に起っていることは、お金はどこにも溢れておらず、
債券や株の値下がりで財産を失った人たちは
残りの少くなった財布をしっかり握りしめて、
買いたい物も買わなくなってしまうのです。
おかげで景気は悪くなる一方で、インフレどころか、
物が売れずに安売り競争が目立っています。

では政府が出したお金はどこに行ったのでしょうか。
政府が出したお金は
銀行や大企業が失ったお金の支払いの一部にまわっただけで、
別にふえたわけではないのです。
簡単に言えば破産もしくは破産寸前まで追い込まれた大企業の
負債の肩代わりをしただけで、
大企業の代わりに借金の支払いをした分だけ
政府の負債がふえたことになります。
一時的に肩代わりしたお金ですから、
大企業が立ち直れたら返済してもらう建て前になっていますが、
もし建て直しに失敗したら、
それだけ政府の借金がふえることになります。
その返済をするために政府が紙幣を濫発するようになれば、
それから本格的なインフレがはじまるのです。

ではアメリカで
政府が次から次へと救済策を打ち出している景気対策が
政府の救済資金によって建ち直ることができるのでしょうか。
簡単な話、第一次石油ショックの時から
ガソリンの値段が30倍にも50倍にもなったにも拘らず、
何ら対策らしい対策も打ち出せずに
腐りに腐ったアメリカの自動車メーカーが
政府のさしのべた手に縋るだけで
世界中で死物狂いの競争を続けている自動車業界で
息を吹きかえすことができるものでしょうか。
日本の自動車メーカーでさえも
ちょっと目を離した途端に
他の国のメーカーに買収される可能性のある時代に、
そんなに悠長に構えておられるものでしょうか。
私はGMの建て直しよりも
アメリカの政府がどうやって
自動車メーカーや金融業界から手を引くかを見る
高見の客にまわります。


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2009年7月4日(土)

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