中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3413回
デパートの売れ口商品に大きな変化が

売り上げの減少が長期化して経営に目標を失った
デパートやスーパーで吸収合併や再編成が急速に進んでいます。
それによって生命が延びたのならめでたしめでたしですが、
逆に足を引っ張られることもありますから、
金融不安が実体経済の悪化にまで及ぶと、
産業界は悪戦苦闘を強いられることになります。

「なあに、1年もしないうちに景気は戻るさ」
と楽観する向きもありますが、
流通業やサービス業の受ける打撃はかなり長期に及び、
業界地図が年を追って入れ変わるのではないかと私は見ています。
たとえば日本のデパートは前身が呉服屋というのが多く、
キモノを売る人が稼ぎがしらだった時代が長く続いたのです。
私が学生時代に東京で生活した頃も、
戦後、小説家を志して東京に戻ってきた頃も、
デパートの中で一番トップの位置にいたのはキモノ売場でした。
キモノ売場は2階の一番いい位置を占め、
ほかの売場を見おろす立場におかれていました。

それがいつの間にか姿を消して、
婦人服売場にとって変わられてしまいました。
2階も3階も4階も婦人服売場で、
5階にやっと紳士服売場のあるデパートも珍しくありません。
スーパーに至ってはデパートの真似をして
ファッション製品で安売り競争を仕掛ける時期がありましたが、
不景気になると先ず
スーパーの衣料品売場がピンチにおちいりました。
スーパーの衣料品売場はお客の素通りするところで、
スーパーの女の職員でさえ自分の衣料品は他所へ買いに行くのです。

しかし、ファッションに敏感なデパートでさえ、
衣料品売場がかつてのキモノ売場と同じ運命を辿りつつあります。
高い物が売れずにユニクロが大繁盛をしていますが、
それが長続きするわけではありません。
デパートの衣料品売場がユニクロみたいになってしまいますから、
婦人服売場がかつての呉服売場みたいな運命を辿ることも
あり得ないことはありません。
ハヤる商売が入れ替わる時期に来ているのです。


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2009年7月14日(火)

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