中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3412回
売上げが1割減ると計上益が吹っ飛びます

不景気が定着すると、
レストランでさえ価格の修正をしなければ
成り立たないようになるのですから、
デパートやスーパーが商品の価格設定に
無関心でおられるわけがありません。

新聞を見ると、
デパートやスーパーの毎月の売り上げが
1割も2割も減少しています。
商売をやったことのない人は、
1割か2割じゃ大したことがないと
タカをくくるかも知れませんが、
自分が商売に従事している人なら、
当事者が真っ青になっている姿が浮んできます。
どうしてかというと流通業の利益は、
日本では2%前後が普通だからです。
売上げの2%が計上利益なら、
売上げが2割下がっても、
利益が2割下げるだけじゃないかと思うかも知れません。
でも実際は2割も売上げが減ったら、
2%あった利益がほとんど吹っとんでしまうのです。

どうしてかというと、
利益が2%計上されるとしたら、
最後の月の20何%の利益が利益に計上されているのであって、
あとはほとんどが経費として使われているのが
流通業の実態だからです。
もし2割も売り上げが減少すると、
その分の利益が完全に吹っとんでしまうので、
利益がなくなってしまうだけでなく、
赤字になってしまう可能性すらあるのです。
そうなると売り場の模様替えをする余裕もなくなってしまうし、
閉店をする資金だって持ち出しになってしまいます。
儲かっている時に新しい店を出すのと違って、
弱り目に祟り目が現実になってしまうのです。

ですからデパートもスーパーも
売り上げが減少することに対して異常に神経質になります。
何とかして売り上げの減少を食い止めるために
商品の値を下げたり、
大バーゲン・セールをくりかえしたりします。
それによって売り上げの減少を食い止めることができたら、
ホッと息をつくことになりますが、
現実はその分だけ利益が減少するだけでなく、
うっかりすると売上げそのものが減少してしまいますから
業績は更に下がることも大いにあり得ることです。
そういう商売の難しいシーズンに突入したのです。


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2009年7月13日(月)

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