中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3429回
アメリカ経済の恢復は楽観できません

アメリカでは国を代表する500社の今年の計上益は
昨年に比べて35%減少していると発表されています。
35%も激減すると、会社が新規の投資をする余裕もなくなるし、
国が徴収する税金もそれだけ減少しますから
社会全体にあたえる影響は大へんなことになります。

減少が一期ですんで経済全体が上向くのなら
傷はそんなに大きくならずにすみますが、
問題ははたして来年になったら
アメリカの景気が恢復に向うかどうかです。
日本がドルを稼ぎすぎただけでバブルが発生し、
株価も地価も大暴落して
息を吹きかえすのに16年もかかってしまいました。
アメリカの場合は世界に通用する国際通貨の歓進元ですから、
風船が膨んで大爆発を起した後遺症が
日本より早く恢復するとはとても思えません。
アメリカの生活習慣病の病害は
1年や2年で恢復のできるものではなく、
長期にわたって後をひくだけでなく、
経済の体制そのものを崩壊させることさえ
あり得ると私は見ています。

いまアメリカが他の国々に比べて傑出しているのは
他人の手に渡った自国の通貨を持主から集めてきて、
お金でお金を生むビジネスくらいのものですが、
投資が果実をもたらすためにはお金を投じた対象が
付加価値をもたらすものでなければなりません。
土地はお金の動き次第で値上がりをするものですが、
それ自体が付加価値をもたらすものではありません。
日本がアメリカに物を売って稼いだお金で
国内やアメリカや東南アジアの土地に投資した結果が
バブルの崩壊につながったように、
アメリカがやったことも同工異曲で、
同じことのくりかえしだったのです。

日本の場合は工業生産で付加価値を生む能力が
まだ残っていましたから、
一命をとりとめることができましたが、
アメリカは何を頼りに元気を恢復できるのでしょうか。
簡単な話、破産したGMが再出発して
アメリカ車を世界中で走らせる日が来るのでしょうか。


←前回記事へ

2009年7月30日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ