中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3487回
シロウトに草刈りはできません

株価というのは波のように毎日、動きます。
2日か3日の動きなら大暴騰しても、
大暴落しても大したことはありませんが、
しばらくして気がついたら、倍になっていたり、
反対に半分になっていたりして、改めてびっくりさせられます。

ならば、安い時に買って
高くなったら売ればいいじゃないかと誰でも考えます。
気短かな人になると
「1円か2円儲かってもいいじゃないか、
手間がよけいにかかるだけなんだから」
と言ったりします。
もう何十年も昔のことになりますが、
私が台湾に証券会社をつくった時、
地場で売買をやる連中が
「丹念に稼ぎますから、100万元僕たちに任せてくれませんか」
と頼むので、
「どうせ駄目にきまっているけれど、
経験させて見ないとわからないだろうから」と言って、
自分たちで勝手にやらせて見ました。
買って売ってをキメ細かくやれば利鞘くらいは稼げるだろうと
売買に立ち合っている連中は誰でも考えるのです。
ところが、2週間もしないうちに
売買が完全にストップしてしまいました。
1元か2元の利鞘を稼ぐ積りが、
逆鞘になると売れなくなって商いができなくなってしまったのです。

取引所で売ったり買ったりするプロでも
取引がストップしてしまうのですから、
シロウトに鞘取りがうまくできるわけがありません。
株式市場で売りと買いが同時に成り立つのは
売る人と買う人が別々の人だからです。
売る人がトクをする場合もあれば、
損をすることもあります。
損をした人の株を買ってまた損をする人もあります。
もちろん、その反対のことも起りますが、
短期に利鞘稼ぎのできる人はほとんどありません。
ところが、株式市場では
大抵の人がそれができると信じて短期売買をするので、
他所で汗水垂らして稼いできたお金を
証券取引所のドブの中に投げ捨てることになるのです。
そうでなければ、取引所も証券会社の本社の建物も
あんなに立派なわけがありません。
草刈りは証券会社の仕事であっても
個人投資家の出る幕ではないのです。


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2009年9月26日(土)

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