中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3502回
ホテル業はいい投資対象ではありません

利用客も多く、
株価も結構、高値まで買われている株にホテル株があります。
私が株に関心を持ちはじめた頃、
帝国ホテルや第一ホテルやロイヤルホテルでも
かなりの高値まで買い上げられていました。
ホテル業は成長産業の1つと見なされていましたし、
他の業種に比べてかなり高額の不動産を所有していたので、
含み資産も含めて優良企業にランクされていたのです。

でもホテル業の実際の収入は
箱の大きさに限られていましたし、
結婚式や企業の宴会による収入がふえ続けていた間は
その欠点が目立ちませんでしたが、
少子化による結婚ブームがすぎ、
高度成長が終ってバブルが発生し
企業の宴会が下火になると、
宿泊の収入だけではホテルの収支が支えられなくなり、
更に不動産の値上りが逆転すると、
一流ホテルの中には倒産するものや
身売りするものまで珍しくなくなってしまいました。

一頃、観光ブームによって
観光地にも次々と新しいホテルが建てられましたが、
ホテルは完成するまでにかなりの資金を要し、
開業して黒字になるまでに
大へんな努力を必要とするだけでなく、
やっと黒字になったら、
すぐ隣りにこちらよりもっと設備のよい
新しいホテルができるという目にあわされます。
お客がなかったら収入がパアになる点では航空会社と同じですから、
先進国ほどホテルの企業価値は低下する方向にあります。
東京で新しくできたホテルが
経営に苦しんでいるのを見てもわかります。

その点、中国のホテルは
社会全体がまだ高度成長化におかれているので、
かつての日本のホテルに似た扱いを受けていますが、
株価ほどには収益もあがらず、
どういう将来が待ち受けているかも
日本のホテル群を見たら大体の見当はつきます。
ホテルの持っている不動産に目がくらんではいけません。
収益があと2年後はどうなるか、
3年後はどうなるかを考えて見て下さい。


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2009年10月11日(日)

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