中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3534回
一番難しいグローバル化の波に乗る術

老齢化と成熟化だけなら、日本国内で起ることですから、
日本人が日本国内で対応することができます。
ところが、成熟化する前の成長過程で、
資源貧乏国日本は
先ず資源から食糧までを海外からの輸入に頼ってきましたし、
その代金の支払いをするために
少くとも輸入に見合うだけの輸出をする必要に迫られました。

敗戦後のヤミ屋商売を卒業して
メイド・イン・ジャパンでドルをしこたま稼ぐようになるまでに、
日本人は大へんな努力をしましたが、
気がついて見れば、日本人は「国際化」の大波の中で
立派に泳げるだけの腕と体力を身につけていたのです。
「必要は発明の母」とは言うものの、
日本人は異人さんとつきあうのも苦手なら、
日本語以外の言葉を喋るのも苦手でした。
その日本人が字引片手にトランジスター・ラジオを抱えて
先進国にまでセールスに行ったのですから、
世界における日本の今の地位を予想できた人は
そんなにはいなかったでしょう。

今やメイド・イン・ジャパンは自動車を先頭に
カメラや家電製品の分野でも世界のトップを切っていますが、
実際に日本を物づくりのチャンピオンに押し上げたのは、
輸出ではなくて国内における1億2千万人の市場でした。
その市場が飽和状態に達したところに
世界的な不況が押し寄せてきたのですから、
輸出の不振だけでなく、国内市場の不振は
日本人が考えるよりずっときびしい重しとして
日本の経済界にのしかかっているのです。

デパートの客の入りを見て下さい。
スーパーの安売りの掛け声をきいて下さい。
高度成長時代の威勢のよかった時代に戻るどころか、
日本の企業が日本国内で商売をやるのが
難しくなるのではないかという心配が
日本国中を覆うようになっているのです。
国を越えて稼いだ高度成長期を逆にしたような経済現象が
私たちの身辺で起っているのです。
だからと言って港も飛行場も
今日限り閉鎖してしまうことはできません。
好むと好まざるに拘らず、
日本人はグローバル化にうまく乗るテクニックを
身につける必要があるのです。


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2009年11月12日(木)

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