中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3535回
グローバル化の本番はいよいよこれから

30年前、私は「国際化」という言葉を使ったのですが、
これからの日本は好むと好まざるに拘らず
「国際化」して行く方向に動かざるを得ないと主張しました。
今日の言葉で言えば「グローバル化」と言った方が
わかりやすいでしょうね。

どちらかというと「グローバル化」は
日本人にとって苦手な現象です。
日本人は一定の地域の中で仲間同志で助け合って
生きて行くことに馴れて来ました。
自分のおかれた社会的なランクを当然のこととして受け入れ、
周囲の人を押しのけて頭角を出すことを望まず、
「君に忠、親に孝」をモットに生きてきました。
一番怖れたことが村八分であったことを見てもわかります。
ですから外国へ出ることを好まず、
その気風は今もなお遺っています。
300年も鎖国が続いても
禁を犯す人が少なかった事実を見てもわかります。

そのせいか、あるいは逆に
言葉を覚えるのが苦手なせいかはわかりませんが、
日本人が外国に行きたがらないのを見てもわかります。
私のような者だって4つや5つの言葉を喋るのに、
私と机を並べたかつてのクラス・メートたちは
ほとんどが日本語しか喋れませんでした。
日本の学校では英語とかドイツ語を教えていますが、
日本人はそれを語学と呼んでいます。
そこの国に行けば、乞食だって喋っている言葉が
日本では学問になっているのです。
日常の用を足すためではなくて、
本を読むために覚える学問の1つだというわけです。

そういう私も日本の大学で勉強したばかりに、
かなり難しい単語でも知っているのに、
子供の喋る英語だってよくききとれません。
人と人との交流はおしゃべりで成り立つものですから、
「グローバル化」は日本人にとってはかなりの苦痛なのです。
それでも生きて行くために日本人は
メイド・イン・ジャパンの商品を持って世界中を歩きまわって
市場を切り開いたのですから大へんなものです。
但し、それができたのはほんの一部の人たちで、
日本人全体ではありません。
グローバル化の本番はこれからはじまるところです。


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2009年11月13日(金)

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