中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3539回
ドバイやブラジルにも100円ショップ

グローバル化の過程で、
二国間の価格差を活用して大成功をおさめたのは
ユニクロの柳井正さんですが、
もう1人は100円ショップ大創の矢野博丈さんです。
どういうわけだか、私は次の時代に大成功しそうな人が誰か
人より早く気がつく位置にいると見えて、
そのずっと前はリクルートの江副浩正さんや
森ビルの森稔さんが私の家の招待会に見えたことがあります。
そう言えば、ダイエーの中内功さんに日本一を狙うなら
東京からスタートしなけりゃ駄目だと言って
東京に案内したのも私なら、
水で天下をとるよ、ハム、ソーセージで日本一になるよと言って
栗田工業の栗田春夫さんや
日本ハム(当時の徳島ハム)の大社義規さんを
我が家に招待したのは昭和30年代のことです。

100円ショップの大創の場合は、
「安売りなら中国人の間ですぐにも受け入れられるから」
と台湾で店をひらくようにアドバイスして、
台湾で大創をやってもらいましたが、
現地の責任者に任命した人の力量不足で1回、
座礁してしまいました。
それにもめげず人を換えて再出発したところ、
いまは21軒も店ができたとつい最近、
ご本人の口からきいたばかりです。

というのも台湾で再出発したあと
4、5年も一緒になる機会がなかったのですが、
つい最近、広島出身の私の秘書が結婚することになり、
久しぶりに広島に行きますのでと連絡をとったら、
矢野さんがわざわざ広島空港まで迎えに来てくれたのです。
5年ほど会わなかったうちに大創は
国内だけで2500もの店舗を持つようになり、
それも日本国内だけでなく、
ドバイやシンガポールやブラジルにまで手を拡げ、海外が500店舗、
合わせて年間3千3百億円も売上げがあるようになったそうです。
不景気になったから安売りをはじめたのではなくて、
世界中、安くできるところで物をつくらせて
値段で消費者を喜ばせる安売りの最先端を行っているわけですから、
これは日本人が発明した
ニュー・ビジネスの一つと言ってよいでしょう。
不景気になればなるほど繁盛する商売ですから、
意気天をつく勢いと言っても決して過言ではありません。


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2009年11月17日(火)

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