中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3540回
人は何のために店をひらくか知っていますか

いま日本で不景気の影響を受けて
一番真っ青になっているのはレストラン業ではないでしょうか。
レストラン業は少々お金があったら
すぐにも店びらきのできる業種で、
従事している人が多いせいもありますが、
ちょっと金まわりが悪くなると
すぐにも影響を受ける業種だからです。

金融不安と輸出の鈍化と円高で
日本の大企業は軒並み大赤字になっていますが、
大企業がピンチになると、
その下請け企業も一せいに休業状態に追い込まれます。
するといままで会社の帰りに赤提灯をくぐった人も、
昼食をレストランでとっていた人も
安上がりの弁当や家の食事に切り換えてしまいますから、
平均して1割は売り上げが減少してしまいます。

サービス業はお金が儲かりそうに見えますが、
潰れないで何とか営業のできている店は
平均して1割の儲けと見ていいでしょう。
それは平均ですから、
景気が悪くなるとスレスレで経営していた店は
たちまち閉店に追い込まれてしまいます。
とりわけ創意工夫がなく、お客からあきられている店は
淘汰の対象になってしまいます。

しかし、それでおしまいというわけではありません。
また同じようなことを考えて
新しく登場してくる人がそれに入れ替るので、
サービス業は衰えを知らない業種の一つなのです。
そうした栄枯盛衰を見て、私は
「お店って何のためにひらくのか知っていますか?」
と周囲の若者たちにきいてみます。
「そりゃお金を儲けるためでしょう」と夢のある人たちは答えます。
でも私の答えは
「閉めるためにひらいているんですよ」です。
店びらきをする時の意気込みと創意工夫を
ずっと続けられる人はほとんどいませんから、
早い遅いがあるだけで、新しくひらいた店も時間がたてば
必らず店じまいになってしまうのです。
どうせそうなるのならやらない方がいいのですが、
これからも新しい人が新しい店をひらくにきまっています。
今はちょうどその端境期にあるので
店を閉めることよりも店びらきのことを考えることにしましょうか。


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2009年11月18日(水)

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