中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3542回
朝食を食べない宿泊客が多いことご存知ですか

もう30何年も前のことですが、
私は渋谷に東京に出張してくるサラリーマンの泊まる
軽便なホテルをつくり、それに渋谷ビジネスホテルと命名しました。
それが日本におけるビジネスホテルの1軒目になります。
偶然ですが、日本中にこれだけたくさんある
ビジネスホテルの名付親ということになります。
今では中国じゅうに商務飯店が次から次へと開業していますが、
これもビジネスホテルの中国訳と言ってよいでしょう。

私がビジネスホテルを思い立ったのは、
高度成長期でもサラリーマンの出張手当が思いのほか少くて、
帝国ホテルやホテル・オークラのシングル・ルームに泊ったのでは
足が出てしまうからでした。
ですから足が出ないように
税込み3千円で泊まれるホテルを考案したら、
ベッドとバスルームとテレビと電話を入れたら一杯になってしまう
ウサギ小屋ができてしまったのです。

こんな小さな部屋ですかと人に笑われましたが、
手土産持って親戚や知人の家に泊めてもらった出張社員たちからは
プライバシーがあると言ってとても喜ばれました。
でも東京に出張してきた地方社員は
地方で東京本社や東京支社のスタッフたちに
ご馳走の貸しがあるので、
ホテルで昼飯や晩飯を食べるチャンスは先ずありません。
昼夜はなくても朝飯を食べるだろうと思って
朝飯の用意はしましたが、
ビジネスホテルに泊るのは比較的年の若い人が多くて、
朝飯食べるより出社ギリギリまで朝寝坊する人が
宿泊客の半分以上を占めているのです。
そういう人の朝飯のために
レストランのスタッフに出勤してもらうと、
朝食代全部を合計しても人件費にも間に合わないのです。

ですからホテルもとうとう朝食を提供するのも辞めて、
朝食を食べたい人はホテルに隣接するコーヒー屋に
足を伸ばしてもらうことにしたのです。
たったこれだけのことでも
実際に自分がビジネスホテルを経営して見なければ
わからないことでした。
私が人より気がつくようになったとすれば
私が無闇やたらに
色々なことにちょっかいを出したからだということになります。


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2009年11月20日(金)

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