中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3545回
「“お通し”はなぜ必ず出るのか」のご一読を

いま世界的な金融不安のとばっちりを受けて、
日本の産業界はきびしい対応を迫られています。
食べ物の業界も例外ではありません。
日本国内でレストランが1割から2割も売上げを減らすと、
1店舗だけの中小企業だけでなく、
全国的なチェーン店を展開している上場企業でも、
海外進出に転じたものかどうか思い迷って、
社長さんが私のところまで相談に見えるのが
1社や2社ではありません。
レストランは本来、地元の人を相手の商売ですが、
グローバル化の時代になると、
海外進出が守備範囲に入ってくるのです。

現に私だって気がついたら
北京や上海や成都や天津でサービス業に首を突っ込んでいます。
まだテスト・プラントの域を出ませんが
私が展開している店ではいずれも日本人が店長をやっています。
中には工場から調理現場まで
日本人で堅めているのも珍しくありません。
レストランはサービス業であり、
サービス業は日本人の方がすぐれていると思っているので、
中華料理までマネージャーは
わざわざ日本人にやってもらっています。
つまりサービス業は日本人の輸出産業の一つだと
私は大分前からずっと考えてきたのです。

そんな考え方をするのは自分くらいのものかと思っていたら、
最近、子安大輔さんという若い人の書いた
「“お通し”はなぜ必ず出るのか」(新潮新書 定価700円 税別)
という飲食業をテーマにした本を読んでいたら、
一番最後のところで
「食が日本の輸出産業になる」という1章があって
同じことを指摘しているのにぶっつかってびっくりしました。
私はもう何十年も前からそう考えてテストを続けていますが、
味千のようなラーメン屋のチェーンでなくて、
「個店の時代」が飲食店の主流であって
そうした個店が世界に進出するようになるだろうという指摘は
プロの人でもなかなか思いつかない
すぐれた物の見方だと感心しました。

日本の飲食業界はいま大きな変革期にさしかかっていて、
これからどうなるのか
業界の人たちでも手に汗を握っているところですが、
関心のある方はご一読をおすすめします。


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2009年11月23日(月)

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