中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3565回
カビ臭くない普茶ができます

私はお茶については全くの素人で、
デパートやお茶屋さんから買って来て家で飲むだけですが、
静岡でお茶の生産をしている人に頼まれて、
茶(プーアール茶)の本場である雲南省で
改良の現場に立ち合ったおかげで、
思わぬことを色々と勉強させられました。

同じお茶を植えても、
気候や温度によって茶の木の成長の仕方が違うので、
日本では緑茶に加工され、
赤道の近くだと、それが紅茶になり、
その中間地帯にあたる中国や台湾では
普洱茶や烏龍茶のような醗酵茶になってしまいます。
なかでも普茶は製造過程でカビが発生するので、
はじめて飲む人が辟易するカビ臭いお茶になるのだそうです。
それに慣れるとカビ臭くないと物足りなくなりますが、
いまから60年ほど前に
はじめて香港の茶楼で普洱茶をご馳走になった折りは
こんなまずいお茶があるのかとびっくりした記憶があります。

しかし、普茶は血管に良いというので、
健康茶として中国じゅうに普及しているし、
最近ではどこのレストランに行っても、
注文すると普通のお茶の倍くらいの値段を要求されます。
その普茶の本場に乗り込んで、
三千年の歴史があると言われるお茶の生産過程に挑戦して見ると、
日本の自動車の製造過程がアメリカの製造過程に
一矢報いたようなことが起るのです。

先ず雲南の人が新芽だけを使うのに対して、
日本人は下の方の大きな葉っぱも使って
一挙に生産量を三倍にふやすことができます。
そうしてつくったお茶の味は
伝統的な方法でつくったお茶に比べても品質が劣らないのです。
しかも、もう1つ画期的なことは
醗酵する過程でカビの発生をおさえられるので、
カビ臭くない普茶ができてしまうのです。
カビ臭くない普茶がはたして何の抵抗もなく
受け入れられるかどうかは私にもわかりません。
何千年もカビ臭いことに慣れて来た人たちにとって
「こんなものが何で普茶か」という反応も
大いにあり得ることだからです。


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2009年12月13日(日)

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