中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3574回
円高が進めば日本は産業界が壊われる

日本は長い間、1ドル360円のレートで粘ったので、
労賃の安い国として工業生産がすすみ、
遂に貿易黒字が定着して
相手国から円高を迫られるようになりました。
固定相場から浮動制に変わり、外貨が貯まるようになると、
その分だけ日本人の財産は高く評価されるようになりましたが、
またその分だけ輸出も難しくなりました。
しかし、日本人は円高にもめげず、
生産性をあげることに全力を傾けたので
メイド・イン・ジャパンは世界中から高く評価されるようになり、
日本はアメリカに次いで世界で第2位の経済大国として
認められるようになりました。

そうした経験があるので、
日本の政治家や役人や学者の中には、
円高は日本の経済にとってもっと金持ちになるチャンスになっても
ボディ・ブローにはならないと思い込んでいる人が
かなり多いようです。
日本がまだ高度成長の過程にあった時は
確かにそういう動きが可能でしたが、
成長経済が終って成熟社会になると、
コスト高を成長性でカバーする余力がなくなってしまったので、
その余裕がほとんど残っていないのです。
ですから1円、円高になっただけで
利益が30億円も吹っとぶ一流企業も珍しくなくなって、
日本の経済界は上から下まで頭を抱えています。

産業界が円高で赤字になると、それだけ税収も減るし、
失業や賃下げもふえて日本国中が不景気になります。
もちろん、この大津波はアメリカから来ているので
防ぎようがないことも事実ですが、
人民元が頑として抵抗しているのに比べて、
日本円は放任状態におかれています。
これは政府のトップから財務大臣や日銀総裁に、
この問題に対する
緊張感が欠けているからだと見てよいのではないでしょうか。
産業界が大ピンチを迎えているのに
役人いじめと
子育てへの大盤振舞に夢中になっている政治家が多いことは
日本にとって由々しい問題になるのではないでしょうか。
このまま進めば、日本はアメリカの後を追うようになります。


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2009年12月22日(火)

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