中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3592回
お金の次は企業が逃げ仕度です

株価が弱含みになると、株を買う人が少くなります。
でも株を持っている人はそこで売ると損をしますから、
大半の人は持株を売らずにじっとガマンをします。
またそれだからこそ株価は大暴落をしないですんでいるのです。

しかし、安値が続くと、人々は安値に慣れます。
安値に慣れて、それでも株が上がりそうにないことがわかると、
このままジッとガマンをするか、
それとももっと可能性のある対象が目につくように
そちらへ移ることにしようかと考えるようになります。

日本の株が戻り足になって高値をつけてから
4、5年ほどたちました、
高値覚えで持っている株は金融不安の洗礼を受けて値下がりしても
なかなか売る気を起しませんが、
下値が続いてそれに慣れるようになると、
はたしてこのままでいいのか、
それともこの際、心機一転してやりなおすべきか、
考えるところまで来てしまいます。

そこへ円高と金融不安によるデフレの長期化と
新政権による予算のバラまきが重なると、
増税とデフレのあとの猛烈なインフレが目の前に浮んできますから、
お金の方が恐怖心を覚えて一足先に逃げ仕度にかかります。
そうなると、今まで考えてもいなかった
中国株やベトナム株の解説書まで読むようになるし、
オーストラリア・ドルはどうなるのか、
カナダ・ドルはどうなるのか、と気にするようになります。
日本国内でも気の早い人が
自分の持っている財産の逃げ仕度を考えるようになると、
はたして日本でこれからどういうことが起るのでしょうか。

お金が逃げ仕度にかかると、
先ずそれに負けず劣らず企業も
日本国内から海外移動の動きを見せるようになります。
日産はタイへ、本田は中国へ、
日立や東芝やパナソニックでも家電製品は現地工場か、
下請工場に生産を任せてOEMでつくらせた製品を売るとなると、
日本の工業は一体、どうなるのでしょうか。
次は企業の海外大移動がはじまると
考えるよりほかなくなるのではないでしょうか。


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2010年1月9日(土)

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