中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3591回
投資資金も国内市場から逃げ仕度

円高が続くと
眞っ先に日本から逃げ出すのはお金だと言いましたが、
それは日本の商売がいよいよ難しくなって
値上がりしそうな株が見当らなくなるからです。
三越伊勢丹のような日本を代表するデパートが
売り上げを2割も下げて
遂に計上利益がゼロになってしまいました。

物が売れなくなると、
業者はあせって商品の値下げをして客寄せに励みます。
ブランド商品は値下げに応じてくれませんから、
プライベート・ブランドと称して
無名商品の投げ売りに力を入れます。
すると、ブランド商品も売れなくなりますが、
値を下げて売れば売るほど利益がなくなりますから、
自分の座っている椅子の脚を自分で削っているようなものです。

バブルのあとの不況時に、
ダイエーの中内功さんが「価格を破壊して見せてやる」
と元気のよい豪語を吐いているのを見て、
「価格が破壊されるより自分の会社がおかしくなってしまうよ」
と私は無遠慮な批評をしたことがありますが、
昨今のスーパーの安売りがまさにその二の舞です。
それもスーパー業界を代表するイトーヨーカ堂やイオンが
その先頭に立っていますから、
流通業界の業界再編制がはじまろうとしているとしか思えません。
どちらも銀行業務に手を出して
思わぬ手数料稼ぎで味を占めていますが、
本業にSOSの信号があがったら、
この10年間に新しく抱え込んだ
お荷物の取捨選択に手をつけるよりほかなくなるのでしょうか。

それに比べると、
中国大陸に進出しはじめた日本の流通業は
中国の内需の拡大と共に好調な動きを示していますので、
いずれも中国進出に積極的ですが、
10年もしないうちに中国での業績で
日本国内の不振をカバーすることになることは目に見えています。
これでどうやって日本人は日本の株に投資するのでしょうか。
円高の放任と国内の大安売りで、
株価が高くなる気運はどこにも見えないのです。
株も大安売りとなれば
投資資金だって逃げ仕度にかかるのではないでしょうか。


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2010年1月8日(金)

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